僕が彼女を泣かせた理由

安原は困っていた。
策士のくせに困っていた。(くせにってなんだよ)
目の前には黒髪和風美少女がひとり。
その黒目がちなおおきな瞳は涙で濡れていた。


どうしよう。


今まさに越後屋は上記五文字の心境だった。
だって、まさかこんな事になるなんて思ってもみなかったからだ。


「・・・・できれば最初に言っておいて欲しかったなあ。」
しょうがないので笑いながら本音を述べる。
周りの視線が、痛い。
「言えるわけ、ないじゃありませんの。」
真砂子は、口元を押さえたまま恥ずかしそうに下を向く。
涙が、カウンターに落ちる。
「・・・僕の、せいですよね。」
「・・っいえそんなことは」
「無理しないでください。すみませんでした。」
安原は深々と頭を下げる。ここで何を言ったところで自分に非があることには変わりない。
越後屋を自称しているのだからこれくらい調べておけばよかったのだ。
驚かせるつもりで、まさかこんな事になるなんて。



「原さんがわさび苦手だなんて知らなくて」
「はいお客さんご注文はー!」


安原の謝罪の声と店員の威勢の良い声は見事にかぶった。
真横では板前さんが黙々と職人技をみせている。


・・・・・・・・・今日はタイミングが悪すぎる。



「・・・・・・・たまご。」
「かしこまりましたー!」



このとき、安原は自分の中でも最高の笑顔で注文したのだが、
その店員はその後何故か三日間熱を出して寝込んだという。何故だか。


慣れない場所にデートに行くときは、(相手の味覚まで含めて)きちんと下調べをしましょう。
というお話。



後言い訳。


「ナル麻衣じゃねーのかよ!」
とつっこんだ方はポイント+1。
「オチはわさびかよ!!」
とつっこんだ方はポイント+2。
「黒髪和風美少女って言い方、良いね。」
と見当違いの事を言った方は-3ということで。
(安田だね)

Q:貯まるとなにかあるんですか?
A:後日「トリオになりませんかv」というお誘いメールがきます。
(えぇ!?)